NPO法人代表理事 西村氏のインタビュー

「未来を創る」をテーマに、Collective Innovationを社会に生み出す器として設立されたNPO法人、「ミラツク」。今回はその代表を務める西村勇也さんにお話しをお聞きしました。

ミラツク4

――西村勇也さんってどんな人??
西村勇也です。今33歳で大阪の出身です。生まれも育ちもずっと大阪で、25年間同じところで暮らしていました。大学は大阪大学の人間科学部というところに入って、教育心理学を学んでいました。僕の専門は人の心の成長で、人の心が前向きに成長していく過程みたいなことを研究テーマにしていました。そんなことをやっていたんですけど、ビジネスの現場に出たいなと思って卒業後、東京の小さなベンチャー企業に就職しました。そして一度転職をし、今度は渋谷にある財団法人に勤めることになりました。この二つ目の会社での僕の仕事は、メンタルヘルスだったんです。なにをやっていたかと言うと、「企業の中の人のコミュニケーションを良くすることで、メンタルヘルスの問題を改善していく。」そんな仕事をしていました。それで、2008年当時二つ目のこの会社でサラリーマンをしていたころに立ち上げたのが、今のNPOの前身となる「ダイアログBAR」というフリー団体です。2008年から活動しているので今7年目になります。

 

――どんなことしているんだろう?

やっていることとしては、一番最初に始めたのはこういう取り組みです。要は、「多くの違うバックグラウンド、違う職種、違うところに住んでいる、違う世代の人たちが一緒に集まって話し合い、それを通じて完結を作っていく。」そんな取り組みをしています。7年前に始めときは六本木のカフェを貸し切って、そこに100人くらいの人をお招きしてカウンセラー、大学の先生、企業内の人事の方、デザイナー、みたいにそんな人たちが一緒に集まって話をするみたいな。なんでこんなことを始めたのかと言うと、色々あるんですけど僕にとってこれが一つの「解決方法」だと思っているからです。

 

違う人との交差点、「マルチセクター」

――解決方法?

何の解決方法かと言うと、社会問題。社会課題は色々あります。僕は、メンタルヘルスは仕事で取り組んだんですけど、元々興味がなかったんですよ。教育心理学が専門だったんで、人の心の成長には興味があるんですけど、その人が何をするのかにはあんまり興味が湧かなかった。でも興味とかじゃなくて、メンタルヘルスの仕事をしているうちに世の中って色んな課題があるんだなって仕事を通じて見えてきました。けど日本のメンタルヘルスってどんどん悪くなっていて、例えばうつ病の患者の数はすごくわかりやすい数字でどんどん増えています。けれど同時に、メンタルヘルスに取り組む人も増えています。だけど問題解決はしていない。むしろ、問題に取り組む人は増えているのに問題自体はどんどん大きくなっている。たくさん取り組んでいる人がいるのになかなか解決しない問題もあるんだなと思って、じゃあどうすればいいのかなみたいなことを考えました。それで今、僕らが取り組んでいることが何かというと「マルチセクター」と呼ばれるもの。例えば行政と大学と企業の人とか違う働き方をしている人たちが協力をしていくことで、もしかしたら何かが解決していくんじゃないかという形の取り組みです。

 

――マルチセクター…もう少し詳しく!

実際どういうことかと言うと、場を作って、みんなで話をして、新しい協力関係を作っていく。だけど、ただ話し合うだけではなく、そこに全く違う人たちに集まってもらうと。高校の先生もいればNPOの方もいる、地域で何か取り組んでいる人もいれば企業の方もいたり、財団の方もいたり、産業の方もいる。色んな人がいる中で生まれる協力関係に意味があるんです。同じような人がたくさん集まっても足りないものって結局一緒なんですよね。僕はNPOですけど、NPOの人が10人集まってもやっぱりみんな同じものが足りてない。

 

――ところで、どこで活動しているの??

東京でスタートして、今は京都に拠点を置いています。今までに24の都道府県で様々な取り組みをしてきました。僕らはオフィスが京都にあるので、関西での取り組みはたしかに多いんですけど、「京都でなにかをやっている」って言うようなそういう団体ではなくて、全国に対して色々な取り組みをしているようなNPOです。なので、職員もいろんなところにいますし、ミーティングをするにしても半分くらいはSkypeでしています。オフィスは確かに京都にあるんですけど、基本的には誰もここにいないし、何かあったら使う場所としてこの京都のオフィスを置いているだけで。今日もメンバーの内2人が今アメリカにいます。

 

出会いが生みだす可能性とは

――なるほど。うーん、つまり…

つまり、どこで何に取り組んでいるのかと言われると、ものすごく難しい(笑)。色々なところで色々な人たちが協力するということに取り組んでいるNPO。だけど、そのいろいろがすごく大事!僕たちのオフィスが京都にあるから、京都でやろうってわかりやすくしてしまうと全く意味がない。例えば京都の人と山形の人が協力するところに新しい可能性があるのであって、京都の人はもうすでに京都の人と出会っているのでそれでは可能性は生まれない。僕らはないところに新しいつながりを生むことがテーマです。僕らがやっている事業としては、大きく分けると二つあって、一つは今言ったようにそうやってお互いの協力関係を広げていくようなプラットフォーム作りで、二つ目の事業はそのプラットフォームを生かしてリサーチをすること。例えば、「東京の企業に勤めていたのにやめて地域に行った人がどういう働き方をしているのか」みたいなことをリサーチする。それを知りたい企業がいたときに、僕らはそういったところにつながりがあるので、そのつながりを生かしてリサーチをし、情報を提供するそんな仕事をしています。関係としてはプラットフォーム作りをするところがいわゆるNPO活動で、リサーチとコンサルティングの部門は、ほとんど会社みたいなことをやっている部門です。

 

――可能性って、例えばどんなもの?

そうですね。例をあげるとスターバックスというコ―ヒー屋さんがあるじゃないですか。そこと東北で震災によって親御さんを亡くされた子供たちのために奨学金を出している財団が出会ったんですよ。スターバックスとその財団が出会うことで、スターバックスはカードによって決済することができるんですけど、ある一つのカードを使って決済すると売り上げの1%がこの財団に寄付されるという、そういう仕組みが新しく始まったりとかしています。これは今年で三年目に入っていますけど、だいたい毎年1500万円くらいの寄付を作ってくれています。そういったプロジェクトを僕らは一個一個作るのではなくて、こういったことが起こりやすいようなシチュエーションを作っていくようなことに取り組んでいるNPOです。実際毎月すごい数とプロジェクトが生まれてくるんですけど、僕は一個一個把握することができないようなそんな状態になっています。。

 

とにかくやってみる。そしたら次が見えてくる。

――そんなにたくさんのプロジェクトが!それって全部遂行されるんですか?

もちろんされません。今までプロジェクトをやってきて、話し合いの中でだいたいどのくらいの規模でアイディアを考えるかというと、1年間で約1万個くらいアイディアを考えると。それで、そのうち100個くらいはほぼ具体的な実行に移行して、着地点まで考える。そしてそのうち10個くらいが遂行されます。で、そのうち1個上手くいけば良い方。ここでやるかやらないかっていう判断をする時に1個残れば良い方です。なんで、1万個のアイディアから1個が事業として成立するってぐらいのそんな感覚です。だけどアイディアはいくつもないと、一が生まれない。それに、やってみたアクションが仮にダメになってしまったとしても、その企画をやめた人がその後何もやらないかっていうと意外とそうではない。そのあとそれが活きて次の取り組みに繋がるっていう確率はかなり高いです。だから、やるってことが大事だと思う。続けるっていうことよりもやるっていうことが大事かなと。

ミラツク2

 

出会いが可能性を生み、可能性からチャレンジが生まれる。そんな場所を提供するの「ミラツク」なのではないでしょうか。何かを思いついたらとにかくやってみる。何も思いつかなくったって、「ミラツク」に参加してみればあなたも何かを見つけられるかも知れませんよ!